2011年8月7日日曜日

出版社のウェブ化はどれが正解?

@voguejp「別冊付録は、2011秋冬Bag & Shoes 完全色図鑑536! 発売中のヴォーグジャパン9月号をチェックして。   」-8月3日-


少し前のツイートですが、気になったので。
9月号の宣伝ですが、リンク先はVOGUE.co.jpのトップページです。
こういう時出版社がやっているウェブサービスは難しいと感じますね。
現在、出版社がウェブに対してとる方法は大きく分けて4つに分けられます。


1-雑誌などの出版物単位でサイトを作りPRに特化した出版物PR型
2-雑誌の名前を冠したウェブ独自のコンテンツを主軸に運営するウェブメディア型
3-雑誌のコンテンツを短縮もしくは流用してウェブコンテンツにするハイブリッド型
4-会社ホームページに次号告知、バックナンバーなど無害な情報だけ掲載するガラパゴス型


サイトを運営する難易度で言えば一番簡単なのは4番目のガラパゴス型です。10年前とほとんど変わりませんが、最近ではfujisanamazonなどにリンクが張ってありオンライン販売に対応したくらいが進化でしょう。高年齢を対象とした雑誌が中心の老舗出版社に多いです。


一番難しいのはハイブリッド型です。コンテンツ流用をやればやるほど雑誌が売れなくなり、流用をしないとサイトが成り立たないというジレンマに陥ります。また、コンテンツの源流が紙の雑誌のため、紙が上流でウェブが下流という認識が編集部内でできてしまうのが密かな問題でしょう。優秀な人間がウェブに行かず、ウェブ編集部がなかば窓際のような扱いになってしまうことでさらなる悪循環が起きることもしばしばのようです。


どれが正解というわけではないので、どれを選ぶかは各社違うようですが現状ではガラパゴス型が比較的問題が少ないしょう。とは言っても、ウェブ対応が一番遅れているという最大の問題点が残るのでその場しのぎ感は否めないでしょう。


ちなみにVOGUEはウェブメディア型ですが、本誌との落差がすごいので本誌読者とは全く別の層が見ているのでしょうね。使い分けができている点はELLE ONLINEと同じです。紙とウェブを押さえられている珍しい媒体さんと言えます。素晴しいですね。
と言いたいのですが、この安泰に水を差す悩ましい問題が出てきます。
電子書籍です。
紙とウェブの中間という出版社が一番望んだ形が登場してきたのですが、これがまた紙ウェブ問題をややこしくしてしまいます。


これは長くなりそうなので、また違う機会に。



2011年8月5日金曜日

JFWとはなんだったのか

第一回「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」参加ブランド発表
-Fashionsnap.com-


スポンサーが変わってから初のファッションウィークの参加ブランドが発表されましたね。
注目のブランドはなんと言っても、マスターマインド。ではなく、スポンサーのメルセデス・ベンツというコペルニクス的転回です。やはりファッションと言えどお金の論理は大切ですね。


さて、政府のバックアップもなくなった旧JFWですがそもそも以前はどのような経費があったのかがWWDにQ&Aで載っています。JFW全体で年間8億円強の予算が必要で、JFW(コレクションですね)は6億円前後が使われているとのことです。収入面では、おそらくテキスタイルを絡めた(JFW-JCですかね)予算を経産省から獲得しており、クールジャパン戦略の予算をコレクション事業9900万円、テキスタイル事業に4500万円交付されることになったようです。


経産省から計1億5000万弱引き出したのは立派ですが、普通に考えれば赤字になってしまいますよね。そのためスポンサー探しをずっとしていたのですが、国内企業ではうまくお金が集まらずグローバルに展開できる代理店と契約するのが必須という状況で米大手代理店のIMGが登場しました。NYコレクションやロンドン、シンガポール、インドなどのファッションウィークも担当しているようで渡りに船とはこのことでしょう。


スポンサーも決まり、あとはコンテンツつまりブランドをどれだけ集められるかが肝となるのですが今回発表されたブランドを見ると先行きが非常に厳しいと言わざるを得ません。ドメスティックということも考慮しても、ここまで小粒を揃えられたのは感嘆に値しますね。
まともに商売としてコレクション参加する意味があるのはato、furfur、G.VG.V.、mintdesigns、Né-net、PHENOMENONあたりでしょうか。とても心が痛むラインナップです。


そもそも何故コレクションに出るのか?という根本的な意味を誰も理解しないままコレクションに突入して爆死するブランドが続出しているのに、JFWは何をもってブランドに参加を促しているのかを説明する義務があるのではないのかなと個人的に思います。


sacaiやkolor、ホワイトマウンテニアリングなど売れているブランドが参加しないところを見ると参加しない理由を説明をするのは簡単なんですけどね。

2011年8月1日月曜日

雑誌の病-廃刊ではなくなぜ休刊なのか-

小学館ファッション雑誌「PS」が休刊へ -Fashionsnap.comから


PSが休刊を発表しました。今年も雑誌の休刊が続きそうですね。
休刊=いつか復刊する、という図式を正直に信じる人はほとんどいないと思いますがなぜ廃刊ではなく休刊なのでしょうか?
ざっくりと出版ビジネスの資産を見ながら考えてみましょう。


1.人材

事業を行う会社は言うまでもなく優秀な商材無しには成り立ちません。
出版社は、人材そのものが商材と言っても過言ではなく優秀な記者や編集者、作家さんなどがいなければ売るものが作れません。海外の記事を翻訳、編集するだけの簡単なお仕事をする人間に恐ろしいほどの給料を払うのも「人材こそ資産」という出版社の古き良き伝統を受け継いでいるからなのでしょう。とはいえ、最近の出版不況を見ると経営陣は悪しき慣習と思っているでしょうね。


2.コンテンツ

優秀な人材を確保して作り出したコンテンツアーカイブは、出版社の事業を広げてくれます。最近では人気のライトノベルをアニメ、映画、グッズ、イベント、はたまたライセンス事業へと幅広く使用して1作品を様々な事業に応用していますね。紙のビジネスが難しいならとにかく実績作りで本を出しそれを横断的にエンターテイメントとしてコンテンツ使用するというのが近年の主流でしょうか。「映像化不可能と言われたあの作品を奇跡の映画化」という身も蓋もない謳い文句で行う小説ベースの映画も、発刊した当時は技術的や資金の問題でできなくて寝かせていたものが多いです。これは、権利をしっかりと保有している出版社ならではの手法ですね。


3.雑誌コード

本題の部分ですが、意外にも知られていないのが雑誌コードという資産です。
各雑誌に割り振られるアドレスのようなものですが、これが30年ほど前からパンク状態で新規発行が大変難しく、申請しても取れる確率が非常に少ないのです。そのため、出版社は廃刊で雑誌コードが消滅するのを防ぐため廃刊ではなく休刊として扱い新しく発行する雑誌にこのコードを使用するのです。見た事もない雑誌名なのに知っている雑誌Aの増刊号と脇に小さく書いてある場合は、雑誌コードを流用する前にその雑誌が読者に受けるのかどうか調査する意味をこめて雑誌Aのコードを使用しているため増刊と言わざるを得ないケースがほとんどのようです。


というわけで、雑誌が廃刊ではなく休刊にする理由は雑誌コードという資産のためということのようです。

優秀な人材に過去の出版物のアーカイブ、発行する雑誌コードと3種の神器が揃っているためどうしても雑誌中心のビジネスモデルから抜け出せないというジレンマに陥ります。「出版社と言っている以上、それが当然」という意見も真っ当ですが、雑誌を流通チャネルの一部と割り切った宝島社のような(ある意味)イノベーションが起きにくいため、休刊した雑誌と同じ轍を踏む現象が続く可能性が高いと言わざるを得ません。
それでも、検証の結果「読者に響かなかった」とコンテンツの未熟さを嘆いてさらに内容を研鑽する努力をし最高のクオリティを自負して発刊しても「必要以上のスペック」、「時代はライトさを求めている」という自省を強いられる結果になってしまうというスパイラルに陥っているのが現状かもしれません。

では、どうするべきかと言うとこれはまた難問でなかなか解決策が見つかりません。
雑誌コードを売買してキャピタルゲインを得るファンド事業を起こすのも面白いかもしれませんね。
また個人的にはこれまでコードを取れなかった若者にコードを託してしまい出版界の活性化を図るのは有効かと思いますが、その場合は今いる編集者さん達は全滅でしょうね。

2011年7月25日月曜日

はじめに

業界中と外の間にいる者が綴る日記です。すべてフィクションなので気にしないで下さい。